雨漏れについての考察と対策 |
屋根が開いたり、脱着できたり・・・オープンカーの最大の特徴であり一番楽 しいところですが、通常つながっている部分に開口部がある訳ですから「雨漏 れ」はオープンカーに乗っている限り、付きまとう悩みの一つです。 デルソルはオープンカーの中でも希有なオープンハードトップな訳ですが、やは りいくつかの雨漏れ(水漏れ)が確認されています。 1.ウエザーストリップからの雨漏れ 2.テールレンズからの雨漏れ 3.クーリングユニットからの水漏れ 以上、3つの項目があります。これからこの3つの項目についての考察と対処 方法及び予防についてお話したいとおもいます。 <ウエザーストリップの雨漏れ> 屋根無しの駐車場や雨降りの走行時などで、症状が現れます。 左右ドアを閉めたときに三角窓がちょうどあたる付近のゴムがウエザーストリッ プと呼ばれる部品です。フロントガラスを右から左へと、くるりと囲んでいる長い ゴム状の部品なのですが使われているウエザーストリップのタイプによって雨 漏れの恐れがあります。 初期型のデルソルは、ほぼ発生すると考えて間違いないと思います。 もちろん後期型は、部品の改良が施されていますので、雨漏れの心配はないで しょう。この部分の経年劣化による雨漏れは、ほとんど皆無と思われます。 対処方法は部品の交換です。加工するよりも確実で、見た目も美しく修理で きますので新品交換がおすすめです。既にホンダの在庫部品は、全て新しい対 策品に切り替わっていますので、特に部品を指定する必要もないでしょう。 デルソル購入時(中古車)にはチェックすべき項目の一つです。雨にさらされ ている以上、予防方法はありませんので細心の注意を払って下さい。 ドアの閉まり具合を調整する事で、多少の改善は可能ですが、完全に直す事 はできないようですので、不用意にドア調整をすべきではないでしょう。(ガラス 調整も同様です) 交換費用は・・・部品代:¥11、300 工 数:0.4H となっています。工賃は修理する工場の所在地域によって違いますので、お 近くのディーラーに確認してみて下さい。レバレートと呼ばれる値段があります が、自分のお世話になる修理工場のレバレートは知っていても損はないでしょ う。工賃は以下の公式から計算できます。 工賃=レバレート(賃率)*工数 例えば、レバレートが7000円で工数が1.0ならば工賃は7000円になりま す。新人が修理して時間がかかろうが、熟練作業員が作業して予想以上に早く 終わろうが、この値段は不変のものです。ちなみに、工数1.0とは1時間で作 業できる修理という意味でつけられています。 蛇足ですがハンドツールの使用を原則として、作業者はホンダ整備年数が3 年程度で、1人が3回同じ作業をしたと仮定した時間の平均から工数を算出し ているようです。 今回のウエザーストリップ交換は左右下部にあるクリップとプラスネジを外す 程度の作業です。個人レベルでも十分できる作業ですので皆さんも挑戦してみ て下さい。 ゴムをしっかりはめる事に注意すればすぐに終わる作業ですよ。 <テールレンズからの雨漏れ> わかりやすく言うと、トランクの雨漏れです。こちらの雨漏れは漏れがある程 度進行しないとわかりにくいという厄介な雨漏れです。 程度のひどいものは、スペアタイヤが浸水している事もあります。 もちろん、錆の原因となりますので注意が必要です。 まず、トランクを開けて下さい。トランクフロアを触ってみて下さい。 ここで湿っているようなら重傷です。次にフロアマットをめくって下さい。スペアタ イヤに水は溜まっていませんか?次に左右のテールレンズ付近のパネルを確 認して下さい。濡れていませんか?以上の全てにあてはまらなければ取りあえ ず安心してもいいでしょう。 この雨漏れはテールレンズパッキン部からの雨漏れが原因です。テールレンズ をトランク側からナットで取り付けるのですが、その際にレンズと車体パネルの 間に挟み込むスポンジ状のパッキンです。経年劣化および、パネル側のシーリ ング不良によって発生します。 予防方法ですが、テールレンズの取りつけナットを増し締めする事によってあ る程度予防も可能なのですが、それによるパッキンの移動から漏れが誘発され てしまう恐れもあるので、あまりお勧めできません。 一番おすすめしたいのは、ある程度年数を重ねた車は、テールレンズを外して 痩せたパッキンを交換してしまい、通常1枚のところを2枚重ねてつけることが 一番だと思います。 2枚重ねだと厚みがあり、少し心配かも知れませんが、締め付けることで密着 しますので心配はいりません。 時々、テールレンズの中に水を溜めている車を見かけます。この症状はデル ソルに限らず、他の車でも発生する不具合です。 後ろから見ていて、あの姿は結構かっこわるいものです。最近はテールレンズ をホワイトレンズに変えたりしているワゴン系の車も多くみられますが、きっとレ ンズ交換したときにパッキンは再利用してるんでしょうね。 再利用したパッキンは、ほぼ間違いなく漏れてきてブレーキランプも浸水によっ て玉切れします。 ブレーキランプのつかない車の後ろは危険ですので、追突に気をつけて走りま しょうね。(閑話休題) <クーリングユニットからの水漏れ> デルソルではあまり聞かない症状ですが、発生も考えられますので紹介して みます。(この症状もデルソルに限らない雨漏れ故障です) 夏なんか、暑い時にはエアコンをつけて冷房かけていると、車の下から水が ポタポタと結構な勢いで漏れています。これは室内の除湿効果によって発生し た水ですので何ら問題はないのですが、車外に出されるこの水が助手席足元 付近に流れ出すのが、クーリングユニットからの水漏れです。 助手席に誰か乗っていればすぐに気がつくのですが、通常ひとりで乗っている 方は気づきにくく、症状が進行すると助手席フロアが水浸しになります。 カンのいい人は気づいたと思いますが、助手席足元にはセンサー類の信号を 読み取り、エンジンを司るECUと呼ばれる16ビットコンピューターがあります。 PGM−FI(プログラムド・フューエルインジェクション)というシステムの要です。 この重要なユニットが浸水により誤作動したり壊れてしまう事もあります。 こうなると非常に厄介ですし、修理費用もかなり高額になります。 車の空調はクーリングユニットと呼ばれるユニットの中に、エバポレーターと いう冷房システムがあり、ユニットにはブロアファンと呼ばれる扇風機がありま す。(このブロアファンにもデルソル特有の症状がありますので、それについて も近いうちにご紹介しますね) エアコンスイッチ(A/C)を入れるとコンプレッサークラッチがつながってカチ ンという音がエンジンから聞こえます。すると、冷媒がエバポレーター内部を循 環しはじめます。それによって室内除湿が始まり、たまった水はクーリングユニ ットの一番下についているドレーンホースより車外へ出されます。このドレーン ホースはゴム製なので、何らかの外的要因で折れ曲がってしまったり、詰まっ たりするとクーリングユニットから水が溢れ出して助手席足元に溜まります。 曲者は詰まりなんですが、外からのゴミや異物がユニット内に進入、堆積して 詰まらせてしまう事に原因があります。 予防としては、木の下などに車を止めないという事でしょうか?枯れ葉が落ち てきてボンネットとフロントガラス間の網状になっているカウルトップから侵入し ますので、秋は特に注意して下さい。 余談ですが、以前この症状で、お客様の車のクーリングユニットを外して修理し た事があるのですが、ユニット内にネズミの巣がありました。 小さなネズミが入り込んでしまい、そこに巣を作ってしまうんですねー。 ほんとに迷惑な話ですが、これが結構珍しくない話ですので、納屋のような車庫 やネズミが出そうな所に駐車しないようにする事も、心掛けましょう。 |
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